三浦半島の南端に近い油壼の北側に位置する小網代湾は、多く の種類の生き物が暮らしています。それは、この湾には磯や干潟
があり湾の奥にはアシ原が続き、小川に沿って湿地帯がありそれ 包むように森が広がっているからです。
湾内の水質のよさは抜群で海域COD年間平均値はちょっと古 いデータですが62年で0.8mg/lで東京湾の大津湾や浦賀港内
では2.0。葉山沖や由比ケ浜沖で1.0〜1.1といった具合 です。
この小網代湾の干潟で不思議な人を見つけました。その人は、 干潟にしゃがみこんで白い手ぬぐいを地面に向かって振っている
のです。実はこのひと、カニに号令をかけてみていたようです。 この小指の爪くらいの大きさのカニは、チゴガニといい、シオマ
ネキ同様はさみを振り上げ潮招きをするのです。干潟一面に白い 点々がパッ、パッと明滅するのです。一斉に同時にはさみを上げ
下げする事があります。
それにしても誰が号令をかけるのでしょうか。あの人は自分で 号令をかけてみたのです。私もこっそり白い帽子を振ってみまし
たがカニには無視されました。
このチゴガニをおもちゃにして見ました。 チゴガニのオモ
チャを見る。
小
網代の森では夏の夜にはさまざまな幻想的な世界が繰り広げ
られます。このせいかこの一帯をひとはポラーノ村と呼びます。 セミの脱皮や、ゴイサギの狩り、満月と新月の満潮の時、アカテ
ガニが一斉に山から海岸に下りてきてはじめる子放し。そして沼 のあたりでの蛍の浮遊などです。この蛍が一匹クモの巣にひっか
かってしまいました。クモはススーと近づいたかと思ったらクル クルッと蛍を糸でくるんでしまいました。よせばいいのに私はホ
タルを助けてしまいました。立場をかえればクモの夕飯を取り上 げてしまったのです。照明をあてルーペとピンセットでホタルの
頭に絡まった糸をほどき始めました。驚いた事にこの糸は恐ろし く細く、かつ丈夫でした。肉眼ではそれほどでもないカラマリも
大変な作業になってしまいました。それよりもなによりも100 倍に拡大してみるホタルは不気味なのです。とくに横から見るホ
タルはゴキブリそっくりなのです。気持ちが悪くなってしまいま した。それ以来ホタルは遠くから見るものと決めています。
写真のアカ
テガニをおもちゃにしました。