★Atelier Mochamura
なんでも研究室
★ミミズあれこれ
ミミズはお宿(やど)寄生虫を調べる
ミミズの死骸
あるときミミズの死骸をちょっと見ているとブクブクあわだっている
ように見えました。醗酵していてガスが出ているのかとルーペで拡大して見てみました。
するとミミズが「もののけ姫」の最初のシーンに出てくる「たたり
神」=イノシシの状態でした。形をなしていたのは沢山の長さ1ミリメートルほどのミミズのようなものの集まりで、それらが動いて泡のように見えていたので
す。
その写真はこちらです。右の写真は拡大して見ることが出来ます。
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ミミズの死骸の全体像 |
約30倍に拡大
1匹の長さは1ミリメートルほど |
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ミミズと猫と寄生虫
先日、あるメールが届きました。「ミミズは一日のうち何時頃地表に
出てくるのでしょう」というお尋ねでした。
じつはこの方の飼っている猫がある病気にかかったため質問されてき
たのです。なんと猫がミミズを食べて、そのミミズの寄生虫が猫の膀胱で繁殖し卵が膀胱の出口で詰まったそうです。このため,猫がミミズを食べないようにす
るため、何時外に出してあげればよいかということでした。
この寄生虫は毛細線虫というそうです。ちょっとインターネットで
調べてみたら
「犬、キッネのおもに膀胱,まれに腎孟に寄
生する線虫で,ミミズが中間宿主となる.虫卵は尿中に排泄され,野外でほぼ8か月で幼虫形成卵となる.これをミミズが摂取すると,結合組織内で感染幼虫と
なり,これが犬に摂食されることにより感染がおこる.感染した幼虫は腸管から肺一腎臓を経由して膀胱に達し,成虫となる・病原性は一般に低いと考えられて
いるが,多数寄生では膀胱炎症状がみられる」とありました。
ミミズが中間宿主
さらに他にミミズが中間宿主等となる寄生虫はと、Webで調べたと
ころ次のような結果が出てきました。 |
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寄生虫名
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宿主
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肺毛頭虫 Capillaria aerophila |
線虫
類でミミズから猫に寄生 卵は鞭虫卵に良く似てる |
穿通毛細線虫 Capillaria
perforans |
ホロ
ホロ鳥・七面鳥・キジ・クジャク |
有環毛細線虫 Capillaria
annulata |
ニワトリ・七面鳥・クジャク |
捻転毛細線虫 Capillaria
contorta |
ニワトリ・七面鳥・ホロホロ鳥・アヒル・ガチョウ |
豚肺
虫:Metastrongylus apri
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中間宿主はシマミミズ、豚に感染した場合呼吸症状として発
咳、呼吸困難、その他体重低下、発育障害となる |
ブタ
回虫 Ascaris suum |
ミミズ・昆虫が副中間宿主。ウシやニワトリの生食で人にも感
染する。 |
開嘴虫:Syngamus trache |
ニワトリなど |
猫回虫: Toxocara cati
(ミミズはparatenic host 待機宿主*)
*寄生体の発育はみられないが、生活史の完成において必要とされる宿主
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日本全国でみられる代
表的な猫の寄生虫。黄白色で長さ3〜12cm。の細長い虫で、待機宿主はミミズやゴキブリ。これを猫が食べ感染する。 |
これらの罹患報告をみてもほとんど発生していないか、ごく
わずかなようで、ましてや人への感染の報告はまだなさそうです。その他、条虫(サナダムシ)もミミズが中間宿主だそうで、口蹄疫の伝播もするそうですが、
これらも含め、おいおい、もう少し詳しく調べてみます。
このように、あたりまえですがみみずも自然の生態系の循環の中に存
在していて、いろいろな役割を担っているようです。いたずらに気味悪がる必要はなさそうですが、かといってあまり人の日常生活に接近させるべきでないかも
しれません。それはすべての動物に言えそうですが。 |
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ミミズの血管
内にもパラサイトが |
ある大学で、ミミズの神経系の研究で血管
に薬液を注入したり、電極を挿入したりしている研究者の話では、その学校の校内で採取できるミミズが少なかったり、寿命が短い時にはミミズの血管内に緑色
のパラサイト(寄生生物)がいるそうです。1年生と言われているミミズでもパラサイトの感染が無ければもっと長生きするのではないかということです。ミミ
ズの生態、個体のみならず地域のミミズにとっても寄生虫は無視できない存在のような気がします。それにしてもどういう種類のパラサイトだろうか・・・・
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ミミズ研究談話会主催のミミズ公開実習(ESS)での解剖実習の際、解剖しているミミズの心臓
から毛のようなものが何本か覗いていました。当初筋組織かと思われていましたがどうやら線虫だということになりました。下の写真がその線虫を取り出してみ
たところです。長さは1ミリメートル程度で肉眼ではよほど注意してみなければわかりませんでした。 |
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蝿の仲間の幼
虫もミミズがお宿 |
双翅目つまり、蠅、蚊、虻(あぶ)のある種の幼虫はミミズ
に寄生するそうです。さて何と言う昆虫でしょうか。その姿やいかなるものか・・・・・(現在調査中)
中村好男氏が育てたらOnesia
subalpinaという種だったそうです。(山口英二著 北隆館発行「ミミズの話」昭和45年9月25日より) |
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モノシマティ
スとはどんな姿か |
寄生性の原生動物の胞子虫類(例えばマラリア病原虫)は、
宿主は全動物界に及び、脊椎動物に害を与えるものも多いそうです。生活史の一時期に胞子をつくるそうです。この胞子虫綱グレガリナ類のモノシマティスとい
うのがミミズに寄生するそうです。(山口英二著 北隆館発行「ミミズの話」昭和45年9月25日より)
原生動物についての研究は格段の変化をとげていて分類も大きく変わっていました。
胞子虫綱グレガリナ類は現在の分類(「岩波生物学辞
典」を参考にして)は
原生生物界(Protista:Haeckel,E.,1866)
アピコンプレックス門 (Apicomplexa Levine, 1970)
グレガリナ亜綱 (Gregarinasina Dufour, 1828)
Aseptatorina亜目(無頭類)
Monocystidae科のMonocystis
のようだということが分かりました。このグレガリナ亜綱の生物は昆虫などの節足動物や環形動物の消化管内やその他の体腔に寄生するそうで、「モノ
シマティス」はこのことのようです。
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イイヅカミミズに寄生
しているのは何者か?
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解剖したイイヅカミミズAmynthas
fuscatus (Goto
& Hatai,1898)の体腔壁にびっしりついていたグレーのブツブツ。腺ではないそうだ。この
正体は何だろう。
クリックすれば拡大します。
2007年8月に宮城教育大学で行われた、京都大学生態学研究センター平成19年度公開実習「野外生態系における陸生大型ミミズ類の調査法,標本作製
法および分類同定法の習得」で宮城教育大学名誉教授がフトミミズの腎管について講演をされた。
ここで紹介された腎管(nephridia)にこの「寄生虫」がそっくりなのに気づきました。
ツリミミズの腎管については、ヨーロッパの文献やWebに紹介されている。ツリミミズの場合は、体節ごとに一対ずつあり、次の体節に排出されている。し
かし、フトミミズの場合は全く様子が違っていて、隔膜や体壁に毛玉のようにびっしり分布しているとのこと。
このイイツ゛カミミズのブツブツとそっくりなのです。
ミミズが濡れている源は、この腎管かもしれません。
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つづく
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