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なんでも研究室ミ ミズあれこれ畑や山で見つけたミミズ
● シーボルトミミズの交接(宮崎・小岩屋さん撮影)
写真は全てクリックすれば拡大してみることが出来ます
 蝶類の研究をな さっている小岩屋さんからいただいたシーボルトミミズの交接(交尾)の写真とメーリングリスト「ドロネット」でのご本人のコメントです。
  自然状態でシーボルトミミズ “Pheretima sieboldi”が交尾しているのを観察したことがありますので、簡単ですがお知らせします (学名に“”を付けたのは、オランダのライデン自然史博物館 に ある Pheretima sieboldi のタイプ標本を日本人研究者が まだ誰も見ておらず、従って私達が普段シーボルトミミズと呼んでいるも のが本当にPheretima sieboldi なのか確認がなされていないから ですーーまぁ99%間違いないでしょうけど、残りの1%を詰めるのは分類研究者の仕事で しょう

写真<1>
日時 : 1998年6月7日お昼前後 ( 正確な時間は書き留めていません ) 
場所 : 宮崎市下北方町平和台丘陵
( 標高30mくらいの地点、写真 <1> )
天気 : 晴れ時々曇り

写真<2>
環境 : この丘陵地 ( 宮崎大学農学部の演習林)は最高点が標高80mくらいで、谷間には溜め池が3つ造られ、溜め池の周囲はスギ・クス・タブ・アラカシ・ウラジロガシ・マテバ シイ・スダジイ等の樹林で覆われ、樹下はイヌビワ・アオキ・ハナミョウガなどが生い茂っています。溜め池に接した谷間状の窪地がシーボルトミミズの良好で 安定した生息地になっています ( 写真 <2>)

写真<3>


写真<4>
行動:この時期シーボルトミ ミズは、主に落葉堆積直下に浅く潜んで生活していますが、倒木下に潜んだり
 ( 写真<3> ) 、腐葉土と粘土質の混じった柔かい部分では土中に浅く「穴を掘って」潜んでいる個体もあります ( 穴を掘っているところを見たわけではありませんがーー)。
 林床が乾いている時の日中 は、これら遮蔽物下から出てきません ( 夜間??)が、雨中や降雨直後の高温多湿の条件下では日中活動して溜め池畔の周遊道に出てきます。当日は、前夜に雨が降って林床は湿り、蒸し暑く、雑木林 に入ると眼鏡がくもる状態でした。いつも5ー6頭のシーボルトミミズを見ている溜め池西岸の狭い谷間 (10m×20m位)に撮影に出掛けたところ、運良く交尾している1組のシーボルトミミズに出くわしました。
 写真<4>を見ればお分かりのように、個体A は環帯より前部のみ穴に隠れ、個体Bは環帯より少し後部から下半部を穴に隠し、互いに逆方向に対面する形で相接しています。この時個体Aの雄性生殖孔が個 体Bの受精嚢付近に接しているように見えますが、交尾に至っているかどうかまではよく分かりません。

写真<5>
 フラッシュに驚いて一旦穴に引っ込んだため生殖孔付近 は見えなくなりましたが、数分後そろそろ出てきました(写真<5>)。この時には、個体Aの雄性生殖孔(環帯のすぐ後の第][節にある)が個 体Bの受精嚢 Y/Zに挿入されている様子がはっきりと見えました。個体Aの腹部が波打っている様子も分かると思います。

写真<6>
 落ちてきた土塊に驚いてまた穴に引っ込んだあ と、1分弱で再び穴から出てきたものが写真<6>です。今度は「雌雄」が入れ替わり、個体Bの環帯のすぐ前の「突起」(第]U節?)が、個体 Aの受精嚢[ /\に挿入されています。雄性生殖孔は第][節にあるわけですから、この「突起」は雄性生殖孔ではありえませんが、一体何なのでしょうか?性的乳頭状突起 と言われるものなのでしょう???

写真<7>
 更にその後フィルムを入れ替えている間に、この「突起」の挿入位置は個体Aの受精嚢Z/[に変わっていました(写 真<7>)。
 この間個体Bの腹部は波打っていて、みるからに何かを個体Aに送 り出しているよう に見えましたが、本当に何かを送り出しているかどうかは解剖していないので分かりません。この間の観察時間は1時間弱だったと思います。友人との約束時間 が迫ってきて、残念ながらこれ以上の観察は出来ませんでした。
  次の日また見に行きましたが、もうこの穴にはシーボルトミミズはいませんでした。付近を捜索して、半径3m以内 の倒木下で1個体・堆積した落葉下で2個体 を発見しましたが、どれが個体Aと個体Bであるかは当然分かりませんでした。この日別の谷間で7個体を採集し、横浜国大に送りましたが、暫くしてタッパの 中でも交尾したということでした。
以上、簡単ですがお知らせまで。
撮影した写真をしげしげと眺 めていたところ、どうも重大な勘違 いをしているらしいことに気がつきました。
   写真<5>のあと、穴に引っ込んだ1組のシーボルトミミズは、どうやら穴の中でくるりと180度回転したのち、穴から出てきたらしいのです。 もしそうだと すれば、写真<6>の説明は「個体Aの雄性生殖孔が個体Bの受精嚢[/\に挿入されています」ということになります。写真<7> の説明も「個体Aの雄性生 殖孔の挿入位置は個体Bの受精嚢Z/[に変わっていました」ということになります。この方が遥かに自然な解釈・説明と思われますので、そのように訂正いた します。お騒がせしました。それにしても正確に観察するのはなかなか難しいものですねぇ(言い訳)
小岩屋  敏 」



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