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ミ ミズの名前の由来・語源 
  
ミミズはどうしてミミズというのでしょうか
チョット調べて一緒に考えて見ましょう
  
1 辞典では 
 
大 言海(昭和47年9月20日新訂版 大槻文彦著 発行冨山房)では、ミミズは蚯蚓と書き、ミミズのミミは鳴く声を 表し、ズはカラス、キリギリス、モズ、カケスなどの語尾につく「ス」や「ズ」と同じ意味で、鳴く虫や鳥の意味とあります。別の言い方として、歌女(かじょ)、赤龍(せきりょう)。訛ってメメズとなったとあります。つまり、メメズが訛って ミミズになったのではなく、逆にミミズが訛ってメメズになったということです。   
 また、日本最古の百科事典、倭名抄(『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょう)  成立930年代)では「蚯蚓、美美須、美美春」。
 同じく我が国最古の医学の事典として薬名を記した書物の本草和名 では「白頭、蚯蚓、美美須」。
 字鏡では「蚯蚓、耳受」。
 平安時代に各地の民謡や和歌を雅楽風に編曲した催馬樂では"無力 蝦「骨ナキ美美須」(力のないカエル、骨のないミミズ)"と歌われていた。
 續博物志「蚯蚓長吟地中、江東謂之歌女」
芭蕉の句で「蚓ナク、明日ハ日和ゾ、蓼ノ花」(芭蕉庵小文庫(元 禄))。
以上が大言海に書かれている内容です。

 漢和中辞典(角川書店 昭和35 年2月10日発行)ではミミズの漢字としては蚓と、螾の二つの字しかありませんでした。
 蚯蚓はキュウインと読むようにしかなっていません。たしかに中国 語でミミズは蚯蚓と書き、qiu yin と発音するようです。
 日本でも昔にはミミズは蚯蚓と書きキュウインと読んでいたので しょうか。
 いずれにせよミミズの由来は「目見えず」が 訛ったとの説ではなくミミと鳴く虫という意味が本当のようです。目見えずが訛ったという説が一般的だとしている説が多いのですが何を根拠としているので しょうか。

 なぜ中国でミミズに蚯蚓という字をあてたのかについて、虫偏に丘と引という字だから「丘を引いて動かすほど、大地を耕すから」という理由を考えがちですが、1716年の清の時代に完成した中国の漢字字 典の康煕字典(こうきじてん)ではレ点な ど省きますが「本草註 蚓之行ク也。引テ而後申ノブ。其ノ塿如丘ノ。故ニ名ツク蚯蚓ト。」つまり、ミミズは引いたり伸びたりして進み、その糞が丘のように 見えることから、その動きと生態を表すため蚯蚓としたと説明しています。実は蚯蚓の字の由来については先の引用に「本草註」とかかれているように1590 年に李時珍 がまとめた医薬書の本草綱目に書かれていたものが元と思われます。

2 ジーと鳴くかミミと鳴くか
 ということで、ミミズの語源は「ミミと鳴く虫」ということで落ち着きそうですが、異論もあるようです。ミミズ はミミとは鳴かずに「ジー」とか「ジージー」「ジジー」と鳴いているからというのです。
 ここでチョット実験です。
 まずミンミンゼミの声を聞いてみてください。
 どうですか、ミーン ミーンと聞こえますね。
 つぎにミミズがミミーと鳴いているの聞いてみてください。 

 やはりミミーと鳴いていますね。実はこの声はケラの鳴き声です。昔からケラやキリギリスの仲間のクビキリギ スなどが鳴いているのをミミズが鳴いていると思ったようです。
 ここでの問題はミミーと聞こえるかどうかです。野鳥などの鳴き声を表現するのに「聞きなし」というものがあります。ウグイスがホーホケキョと鳴くという ように表現していますが、ホーホケキョと鳴くということを知らない人が鳴き方をまねしろといわれたらピー ピピピというかもしれません。
 鳴き声の表現、つまり擬音語の違いによく引き合いに出されるのが犬の鳴き声です。日本ではワンワンですが英語ではBowwow(バウワウ)になってしま います。さらに 豚に至ってはブーブーがoink (オインク)になってしまうそうです。 
 擬音語の違いは、国の違いだけではなく、同じ日本でも昔と今では違っているものがあります。
 平安時代末期の「今昔物語 巻第二十七 第四十一 高陽川の狐、女と変じて馬の尻に乗りし語」では「狐になりて、こうこう と鳴きて走りいにけり」と狐 の鳴 き声はコンコンではなくコウコウと表現しています。このように、昔と今では擬音語が変化しています。
 ミミズの鳴き声(実はケラなど)もミミからジージーに変化してきたのではないでしょうか。
 ジージーと「聞きなす」と、「ミミズ」ではなく 「ジージーズ」となったのかもしれませんね。

3 ミミズが美しく鳴きチーと聞こえる
 音のプロが聞くと「ジージー」ではなく「チーチー」と聞こえるというお話です。 
 世界的に有名なバイオリン製作者の陳 昌鉉氏は、「コンサートホールで聴くストラディバリウスのピアニッシモ」のような「チーチー」という音を畑で聞いたそうです。その音は、農夫によればミミ ズだということで、 陳氏は、なんとかミミズをバイオリン作りに利用できないかと、ためしてみたそうです。(河出書房新社 「海峡を渡るバイオリン」より )
 まさにプロの耳にもミミズの声(じつはケラ)は美しく聞こえ、美々須や歌女と呼ばれたこともうなづけます。



 

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