短編小説・童話


 

童話   

ポポじいさんの話−あおく光るタマゴ

 谷への固く閉ざされた門の前。ひなたぼっこをしながらひるねをしているポポ

 爺さんのところへ子供たちが遊びに来ました。

 子供たちは門の向こうに何があるのかとポポ爺さんに尋ねました。ポポ爺さんは

 しゃべり始めました。

  遠い遠い昔のこと、わしのじい様のそのまたじい様のいたころのこと。谷の奥

  には青く光る大きな卵がゴロゴロしていたそうじゃ。

  とてもかたくて、ずっと、むかしからそこにあった。そこに行ったひとは、み

  んな元気が無くなり、ぐったりとして寝込んでしまうといわれ、だれも近づこ

  うとはしなかったんじゃ。ところがある日、ある少年が、このたまごをもって

  帰ってきてしまって、暖めてみたんじゃ。すると、卵の中から怪獣が出てきた。

  その怪獣はすぐに大きくなり、畑を耕したり、重いものを運んだりしてすばら

  しい働きをした。少年はみんなのためになると思った。だから、どんどん谷か

  ら卵をもってきてはかえしていった。

  その怪獣は、とても大食らいで、ときどき暴れ、どうもうになり危険なところ

  があった。だから、こわがる人もいた。

  危ないからできるだけ皆から見えない遠くのほうで飼った。そして秘密にする

  工夫を色々こらしたそうじゃ。

  こわがっていた多くの人も、X怪獣の働きぶりには感心した。みんなとっても

  楽をした。

  でも、X怪獣の機嫌をとるのにそれはそれは苦労した。たくさん食べるのでX

  怪獣の食べ物をたくさん作らなくてはならなかった。食べれば食べるほど大き

  くなりそして、もっとたくさん食べるようになっていった。そのうち人々は怪

  獣の食事を作るために働くようになっていた。でも、みんなはそれに気付いて

  いなかった。

  それだけではなかった。大きな問題があるのに気付いてきた。それは、ウンチ

  をたくさんすることだった。いっぱいたまって、かたずけるのが間に合わなく

  なっていった。そのうちX怪獣は一人で歩き始め、みんなの手に負えなくなっ

  た。気が付いたら何から何までX怪獣のいいなりになり怪獣のためにみんなは

  働いていた。

   ほかの村ではX怪獣を番犬がわりに飼っていた。これもやっぱり大ぐらいで

  どうもうだった。でもX怪獣のおかげで、回りのむらの人たちからは恐れられ、

  貢ぎ物がたくさん届けられた。同じようにX怪獣を番犬がわりにしている村が

  あった。この村どうしはとても仲が悪かった。でも、X怪獣どうしをたたかわ

  せることはしたくても出来なかった。あんまりにもずうたいが大きく、力があ

  りこれが暴れたら二つの村ともつぶれてしまうからじゃ。

  ある日、X怪獣が暴れ始めた。でも被害は少なくて済んだ。少年は悩んだ。み

  んなのためになると思っていたが、そうでもなくなってきた。少年はいろいろ

  考えた末、怪獣を谷にかえすことにしのじゃ。卵のあった谷に戻った怪獣達は

  いまでもこの谷に生き続け静かに暮らしているのじゃよ。

   どういうふうにして谷に連れてきたかって?

   その話しはまたあしたじゃ

 話しを終えるとポポ爺さんは、またコックリコックリひるねを続けました。
 
 

 

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