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光るミミズを探す

砂浜のミミズも光る? 
「フグはなぜ毒で死なないか」(吉葉繁 雄著 講談社 発行)の中に光るミミズとし て、ヒカリウミミミズというのが紹介さ れていました。北隆館 「新日本動物図 鑑」(上)には載っていないミミズで す。砂浜の藻ごみの下にいるそうなの で、 海に行かなくては・・・・ 
学名は、同じようなので「フグは なぜ毒で死なないか」で紹介されていたヒカリウミミミズとイソミミズ  Pontodrilus matsushimensis Iizuka,1898 は同じミミズのよう です。ウミミミズともいい、日本の海岸 のどこにでもいるということです。
 イソミズは、世界中で発見されていてスノニム(異名・同物異名)が多く





FamilyMegascolecidae  フトミミズ科
Genus   Pontodrilus  Perrier, 1874  
Species Pontodrilus litoralis  (Grube, 1855)   が最新の分類のようです。
 
砂 浜でミミズを探す  イソミミズはどこに?

2001年11月 24日(土)

  イソミミズの発見情報が神奈 川県の横浜や横須賀に多いので、こ の地方 に永く住んでいる職場の人に聞いてみました。
すると「いるいる。つかまえて、釣 りの餌にしたよ」というのです。よ く聞くと、海岸の砂浜で、藻の下の 砂の中 にいたというのです。何時頃の話か と聞くと「かれこれ30年ほどまえ のことで、その後、餌は買えば手に 入るようになり、探したことはな い」ということでし た。
彼は、林と言うところに住んでい て、ミミズのいた場 所は、小田和湾の砂浜だとい うことです。どうやら、イソミミズ Pontodrilus litoralis  (Grube, 1855)のことのようです。これは鎌倉からそう遠くは無いので早速現地調査することにしま した。
  湾の海岸線のほとんどを占める 陸上自衛隊武山駐屯地の脇から海岸 へ出ました。そこは富浦公園という 公園でした。湾をぐるっと見渡して みて、ほとんどが コンクリートで固められているよう です。どうやら湾で残された砂浜は この2〜3百 メートルだけのようです。

  さっそく、この砂浜にわずかに打ち寄せ られている藻の下を掘ってみました。 掘っても掘ってもネズミ一匹いや生物ら しきものは全く見 つけられませんでした。あるのはごみと 貝殻だけでした。
 そ こで近くの漁港で漁具の手入れをしていた漁師さんに聞いてみました。「湾内は 昔から海苔の養殖をしていたんだ。もち ろん、海岸線はぜんぶ砂浜だべ。光るみ みず?そんなものみたことなかった なぁ」
空 振りでした。もう、ここには、いなくなっているのか、それとも探し方が悪いの か、季節が違うのか?とりあえず引き上 げることにしました。かえりに近くの釣 り餌屋に寄り店の人に聞きましたが、要 領を得ませんでした。つまり、地の餌に もなっていないということのようです。 さて、これからどうしよ う・・・・・・・海岸のミミズはあきら めて陸のホタルミミズを探すことにしま した。
2013年5月18日(土)
 あれから10年以上たち、いまだにイソミミズを発見していないのでは、ミミズウォッチャーを名のれないということで探しまし た。名古屋大学の発光生物の先生からどんなところにいるか教えてもらい、まずは鎌倉の由比ヶ浜海岸を探しました。川の河口付近ではない砂浜に打ち上げられ た海藻の下を掘ってみました。
 トビムシや小さな虫は沢山いるけれどミミズは見つかりません。しかたなく、隣の稲村ヶ崎から始まる七里ヶ浜まで行ってみることにしました。
 手前の鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区ではホタルミミズも見つけていて、ここ の砂浜でイソミミズが見つかれば、日本にいる発光する二種のミミズがそろうわけです。遠くには江の島や富士山が見える、絶景でもあります。
 最初の手前の砂浜は、砂が真っ黒で、そういえば砂鉄の豊富な砂でした。
やはり砂を掘っても見つかりませんでした。少しずつ、江の島側へ移動しながら探していました。
 数百メートルほど行って、打ち上げられ半ば乾燥している海藻の下を掘っていたとき5cmほど掘ったところにミミズらしきものがいました。石に置き、水をかけ付いていた砂をおとしたら、やはりミミズのようです。
体長は7センチほど。環帯もありミミズに間違いなさそうです。
 近くを掘ったら次々に見つけることができました。
 もちかえり、よく観察してみると環帯は鞍状で、13体節から17体節にかけてあり、その他の特徴もイソミミズに合致しました。ついに発見です。
問題は、発光するかどうかです。部屋を暗くして、ミミズから出てきた体腔液を紙にこすり付けたら、わずかに光りました。しかし、かすかなので写真にとるこ とはできませんでした。
2013年5月25日(土)
 どうしたら光るのか、もう少し調べるためにもう一度砂浜に行くことにしました。
こんどは、プロ用の園芸雑誌の編集長という強力な助っ人も加わりました。
 しかし、やはり由比ヶ浜の東端、正確には坂ノ下漁港だそうですが、ここでは見つかりませんでした。
 前回、漁港で網の繕いをしていた漁師さんに光るミミズ・イソミミズを見たことがないか聞いてみましたら、それなら潮が引いたときに穴が開いていてその下 にいるよ、ということでした。
 その「イソミミズ」は見つかりました。体は、扁平で後部には毛・突起(いぼ足)が出ています。どうやらイソメ類のようでミミ ズではあり ません。
 それでは確実な場所でということで、再び稲村ヶ崎から江の島まで続く七里ヶ浜に向かいました。
 チョット寄り道の話ですが、イソメを辞書で引いてみると「磯蚯蚓」となっていました。そのまま読むとイソミミズです。ミミズではないのですが・・・・紛 らわしいですね。
 七里ヶ浜の東端の 稲村ヶ崎の公園から江の島に向かった数百メートルの間ではイソミミズを見つけることができませんでしが、前回見つけた場所では数匹見つけました。光るのを 確かめるにはこれで十分です。
 あらためて,見つけた場所をよく考えてみると、そこは、満潮のとき、潮が一番上がった場所(高潮線付近)で、海藻が運ば れて きて長期間堆積している場所でした。ここまではめったに海水も来ません。途中の干満のたびに潮が来る場所(潮間帯)では海藻は干満のたびに移動してしまう ため、イソミミズにとって安定してエサが得られませんし、時には長時間、塩水に浸かることになります。
 イソミミズを見つけた昼間は砂の中の5cmほど下にいましたが、夜間は藻の中や地表に出てくるのかもしれません。これらについては、もう少し他の場所も 見てみなくて は何とも言えません。
 さて、問題は発光です。
 ホタルミミズのように、尾部をピンセットで軽くつまんだぐらいでは光る体液を出しません。
 それではということで、穴の中に潜むミミズを追い出すために使っているネリガラシを水に溶かしたものをチョットミミズの体につけて刺激してみました。
 すると、明るい場所では黄色く見える液体を体表と口から出しました。暗くしてみる と、これが光っていました。
 なお、ミミズについたカラシは水で洗うと、ミミズは元気にしています。
 さて、イソミミズは何のために、どのようにして光るのでしょうか。また、生息する浜としない浜があるのか、そうならば何が違うのか、それとも探し方が不 十分なのか。また、調べなくてはならないことがふえてしまいました。
イソミミズを飼育してみた  なんと3年3か月生きていた
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