ミミズの大量出現については昔から多くの動物学者たちが調べていました。
古くは、あの進化論で有名なチャールズ・ダーウィ
ン(1809-1882)がその著書「ミミズと土」で「病気のミミズは、普通、寄生性のハエにやられている個体であるが、それらは日中でも動き回り、地表
で死んでしまう」(渡辺弘之訳平凡社ライブラリー)と書いています。
これについては、後日、他の研究者が調べたところ寄生虫は、いなかったそうで、この説だけではすべてを説明できなかったようです。
Marker,E.(1926,1930/1931)は侵入した雨水には酸素が欠乏していて酸素の多いほうに移動するとしましたが、畑井(1931)はミ
ミズの
周囲に侵入した雨水の炭酸ガス分圧が高いためそれに
追われることを突き止めました。東北大学の畑井博士は、昭和の初期に生物学教室の人々と共同で研究し、多数のフトミミズがトンネルから這い出すのは炭酸ガ
スの蓄積が原因と考えられるという結論を出しました。また水が土砂を通過する際に、遊離酸素が多量に失われることが実験的に証明されたということです(北
隆館発行山口英二著「ミミズの話」昭和45年9月25日発行より)。
Focke,F.(1936)は侵入した雨の浸透圧の変化や水の機械的刺激が原因としました。
西田(1949)は降雨後に土中の二酸化炭素分圧が上昇していることを実験により確かめました。
北隆館 昭和39年12月版 (初版大正15年11月)では、「ミミズは大降雨にはよく土中から這い出てそして死ぬが、これは穴に酸素の不足した雨水が入
るためである。すなわち、雨水が土壌を通過すると、その間に酸素が多量に失われそれが穴に入りて空気と置換するため,ミミズはついに這い出る結果となる。
しかし水中に陸生ミミズを飼育すると幾週間もよく生存する。このことからみると、水が穴に入り込むことのみがミミズの這出の理由の全部ではないであろう。
すなわち,原因としては有毒な二酸化炭素が水に逐次増してくるのを逃れることにあろう。ミミズはさらに深く土中に入る術はあるが、これは万全の策ではなく
最後の手段として地上に出、日光の直射下に彷徨する。曇天ならば2,3時間は生存するが、紫外線のために遂に死ぬ。この時、水中に入れてやるのは最もよい
方法だが、これも一時的なものである。雨期、水中に多数の溺死ミミズを見ることはまれでない。」とまとめています。
最近では、杉(2002)は雨上がり後の(ミミズの)一斉移動について体系的にまとめました。ミミズが炭酸ガスに対してのみ極め
て激しい反応を示すこと。雨上がりの後晴れの日の土壌呼吸量あるいは炭酸ガス濃度が増加すること。ミミズの生息域では自己の糞により微生物の活性がより高
く、とくに初夏が最も高いこと。以上から夏、雨の後のミミズ一斉移動・死が個体群密度の自己制御である点も指摘しています。このことは、こちらで詳しく紹
介されています。http://ww71.tiki.ne.jp/~ycryptomeria/dai7syou.pdf
ところが、近くの道路で毎年出現するするミミズは雨の日ばかりではありませんでした。そこでほぼ毎日、ミミズの出現の
数を数え、それと雨やその他の何かと関係はないか調べました。
結論を急ぐ人は最後の「まとめ」を見てください。